刑事裁判の流れ

智子 さて、いよいよ裁判の開始よ
ボビー あっ、この前傍聴に行ったときにノートに「新」って書いてあったやつですね
智子 そう。裁判所に入ると受付のようなところにノートが何冊か置いてあるの。そこにその日の裁判の予定が書いてあるんだけど、「新」って書いてある裁判はその裁判の初日ってことね。
ボビー さすがに覚えているでしょ。
智子 行ったことがあれば誰にでもわかるわね。

さて相変わらず厳しい智子だがこれより冒頭手続の説明にはいります。
冒頭手続は以下の手順で始まります。

智子 まずは人定質問からね。
ボビー うんうん。傍聴していて最初に緊張するところだね。普段おめにかからないような怖そうな人たちの住所・氏名が生で聞かれるんだから。
智子 でもあなたの友達って捕まる人多いわよね。そんなに緊張しないんじゃない?いったいどんな生活してるの?
ボビー たまたまですよ〜
智子 ま、いっか。
次は起訴状の朗読ね。検察官が起訴状を読むの。起訴状にはこんなことが書いてあるのよ。
  • 被告人がダレであるか
  • 被告人がいつどこでどんな悪いことをしたか
  • それは何法の何条の何罪にあたるのか(たとえば刑法174条の公然わいせつ罪にあたるなど)
ボビー そうそう。なんだか長ったらしくて何いってるかわからないの。
しかもさ、あいつらすっげぇ速さで読むのね。わけわかんねぇよ。早口の訓練なんてしてる暇あったら合コンにでも行けっつ〜の!!
智子 なぜに合コン?
ボビー いや知らんけど…。
つぅかさ、あんなに早口で読んでみんな聞き取れるわけ?
智子 大丈夫なの。裁判が始まる前にみんな提出されてるものだから。つまりみんな目を通してあるってことね。
智子 さて、次は黙秘権の告知ね。 被告人には黙秘権ってのがあって、「あらゆる質問に対して答えなくてもいい」っていう権利があることを伝えられるの。伝えるのは裁判官の仕事よ。
ボビー うん。でもさ〜おかしいよね。なんでこんなに色々な権利があるわけ?悪いことした人でしょ。もっと痛めつけてやらなきゃ。何のための裁判だよ!
智子 ちょっと待って。被告人は「悪いことをした人」じゃないわよ。
ボビー ええ?だって悪いことをしたから裁判にかけられているんでしょ?
智子 悪いことをしたからじゃなくて、「悪いことをした疑いがあるから」なの。裁判で「悪いことをしたと納得できるだけの証拠」がなければ被告人は無罪になるのよ。よく「合理的な疑いを超えるだけの証拠」といわれるわね。
つまりちゃんとした証拠がなければ、被告人はいつでも無罪になるの。最初に法廷に立った時点でもまだ無罪としてあつかわれるのよ。
ボビー じゃあおかしいですね〜。どうしてテレビでは犯罪者みたいに報道されるんですか?
アナウンサーだっていかにも悪者みたいに実名報道しちゃったりして…。
智子 う〜ん。そこがテレビのいい加減なところよね。

実際有罪が確定する前にテレビがいかにも悪者かのように報道するのは問題かもしれない。
しかし、テレビ側もいかなる権力にも左右されてはいけないのだ。国家権力に左右されずにテレビが「悪者」と決める基準があってもいいのかもしれない。
なにはともあれ、テレビ側には影響力をしっかり考えてもらって、いい加減な調査から人を悪者扱いするのはやめてほしものだ。

智子 さてこのあとは被告人に発言できる機会が与えられるの。検察官が起訴状を朗読したことについて、「間違いありません」と罪を認めちゃったり、「違います」と認めなかったりするわけ。
ボビー いよいよ裁判らしくなってきましたね。
智子 そうね。ここで罪を認めなかったりすると本格的な争いになるわけ。当然検察官が「こんな事実があったはずだ」と言ったのに対して、被告人が「いやそんなことはない」って争いになれば長引くわね。
長引いたら私たち傍聴人にとっては「めんどくさい」ともいうけど、「おもしろい」ともいうわね。
ボビー 手に汗にぎるってやつですね。
智子 知ってると思うけど、そんなに期待できるものじゃないわ。罪を認めない被告人なんてごく一部だもん。

冒頭手続が終わるといよいよ証拠調べです。とにかく検察は被告人を「証拠」「証拠」で追い込んでいく。被告人を有罪にするには「確かな証拠」がなければ不可能だからだ。

智子 さていよいよ証拠調べね。
ボビー これもどうせ事前に提出されてるから、早口で流れていくんでしょ。
智子 う〜んホントに見事な回答ね。「否定してくれ」と言わんばかりの…。
ボビー そりゃ台本に書いてあるから…
智子 うわっ!だまってろよバカ!
実は裁判を公平に進めるために、検察官は事前に起訴状以外のものは提出してはいけないの
つまり証拠はここではじめて提出されることになるわね。
ボビー それではその証拠調べはどのように進むんですか?
智子 それでは下の表を見てね

証拠調べの流れ
冒頭陳述 検察官が「被告人はこんな悪いことをしてきたってことを、この証拠で証明しますよ」ってことを証拠調べの最初に述べる。
そのあとに裁判官の許可を得て被告人・弁護人も冒頭陳述を行うことができる。
証拠調べの請求 検察官が「証人の尋問をさせてくれ」「こんな証拠物があるんだ」「これを鑑定してくれ」などの請求をする。
目的がわからなかったり、なんことだか特定されていないような証拠は裁判所は却下することになる。
検察官が先に請求したあと被告人・弁護人が請求することになる。
不服申し立て 裁判所が認めた証拠に対して不服がある場合には不服申し立てができる。
証人尋問 証人を尋問する
被告人質問 被告人に質問する。証人尋問との大きな違いは、被告人には黙秘権があるから質問に対して答えても答えなくても良く、答えなかったことによって被告人を不利にすることはできない。

智子 え〜っとこんな感じね。
証人尋問では証人を請求した側から尋問を始めるの(主尋問)。そして必ず相手側も尋問することができるの(反対尋問)。
たとえば検察官が請求した承認には検察官が最初に尋問して、そのあとに弁護人・被告人からの尋問になるの。
ボビー そういえばこの前傍聴したときも反対尋問の方がおもしろかったですね。
智子 やっぱり打ち合わせが済んでいて有利なことだけを話させる主尋問よりも、反対尋問のほうがおもしろくなるのは確かね。
ボビー あっ!ちょっとまってよ!証人には黙秘権はないの?
智子 ないわね
ボビー えっ〜!?
智子 簡単に言い過ぎたわね。黙秘権はないけど証言拒絶権というのがあるわよ。
自分や親戚が罪に問われる恐れがあるような発言や、医者とか一定の職業の人が知った他人の秘密に関することは証言しなくてもいいの。
ボビー ちょっと証人はつらいですね〜。
恥ずかしいこととかも言わされるわけでしょ。痴漢の被害者とかつらいですよね。
智子 う〜ん。最近ではそれを防ぐために色んな措置がとられているわ。 たとえばこんなのね
  • 被告人を外に出す
  • 傍聴人を入れない
  • 証人に付き添いをつける
  • 被告人と顔をあわせないようについたてなどを置く
  • ビデオなどを使って別室で尋問
智子 こんなことをしたところで、だめなものはだめなんだけどね

智子 さて、証拠調べが終わると検察官が最後に意見を述べるの(論告)。
意見を言うったって勝手なことはダメよ。
「被告人はB型だから犯人だ」なんてもちろんダメ。
ボビー ええっ!?なんでですか?B型だったら悪者じゃないですか!
智子 あなたホントにある方面から殴られるわよ。夜道とかに気をつけなさいね。
そのあとは 「こんな悪いことをしたからこんな刑罰を与えるべきだ」と検察が主張するの(求刑)。
テレビでもよくでてくるわね。
ボビー そうそう!それが一番かっこいいね。それドラマでみて検察官になろうと思ったもん。
智子 あなた検察官になろうとなんて思ってたの?
ボビー つぅか今も思っているんだけど…。
智子 ・・・。
ボビー 固まるなよ!!
智子 だって…。こんなところでこんなアホな会話をしてるようじゃ無理ね。
ボビー うるさい!
智子 まぁいいわ。時間お無駄になる話だわ。
求刑が終わると最後に被告人・弁護人からの発言ができる。 最後に被告人が自分の言葉で発言するから、傍聴をしている人にとってはなかなか興味深いものよ。

さてこのあとに判決がでてめでたく刑事裁判は終了する。

ことになるのだが、日本では被告人は3回裁判を受けることが認められている。判決に不服があれば、申し出ればあと2回まで裁判を受けることができる。
最初に地方裁判所で判決が出た場合、高等裁判所→最高裁判所と裁判を受けることができるのだ。
逆に検察官が1回目の判決を不服として再度裁判を受けることができる。
1回目を不服として2回目の裁判を受ける請求をすることを控訴という。
また3回目を受ける請求をすることを上告という。

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